free bird


目を閉じて
貴方を想おう
優しい掌の温もりも
耳に心地よいテノールも

静かに凍えてしまうだろう
雪解け水が流れたら
きっと一緒に流れてしまう
けれどこの冬はまだ溶ける事無く

頬に落ちた暖かな唇の感触も
さらりと滑る艶やかな髪も
こぼれ落ちてしまえばもう
消えて行くだけ

目を閉じて
貴方を想う
刻み付けて刻み込んで
永遠を歌おう




離した手を憐れまないで
孤独を選んだ事を哀しまないで
貴方のためじゃない
空々しく響いたとしても

全部私が欲しがったの
独りで飛び立つその術を
独りで歌うこの日々を
永遠だと紡ぎ続けるこの一瞬を

空っぽの掌と嘆かないで
この胸には其れでも温もりが満ちて
この耳には其れでも刻み込んでいる
独り立ち尽くす足は疵だらけでも

離れた掌幾らだって望むけれど
離した手を憐れまないで
独りで飛び立つその術を
永遠だと歌い続けるこの日々を

全部私が選び取ったの




放した手、離れた掌。遠ざかる距離。
自由であるが故の孤独。孤独であるが故の自由。

2008.01.08