間に合わない嘘を付いた 鋭いナイフの切先のような真実を 鞘に収めて布で包んで 君を傷つけはしないのだと 示してみせてあげたかった 繰り返し夢を連ねた 尖った鋭利な真実は 包んだ布の中収めた鞘の中 君が気付く事がないように 繰り返すことばかり繰り返した 真実を知りたいと子供の純粋さで 理不尽な子供の無邪気さで 布は切り裂かれ鞘が取り上げられ 哀しい真実だけが残っても 君が痛む事が無いように 君が真実を理解する事がないように 何度も何度も何度も何度も 繰り返すことばかり繰り返した 間に合わない嘘を連ねて ねぇ巧く自分を騙せたかな もっと嘘が下手なら 僕は震える君の肩を抱いて 其れでも構わないと 囁いてあげることも出来たのに もっと臆病で居てくれたら 僕は慟哭するよう叫ぶ君を そのままで良いんだと 力の限り抱きしめたのに 君は酷く嘘が上手で 痛みに臆病なんかじゃなくて 誰かが泣く事ばかり 何時だって遠ざけたがって 矢面に立っては 自分だけが傷だらけになって 微笑みながら差し伸べられた 君のその手が傷だらけだと 気付かなかったならば 僕はどれだけだって幸せで居られたのに /*救われたくないって、叫ぶなら。もっと上手な嘘を吐いてよ*/ 知っていた 貴方がついた 優しい嘘 残酷で残酷で 哀しい嘘 本当は 振り返りたくて堪らなかった 気付いてた 残酷で残酷で 優しい嘘 似合わない嘘 突き放した振り 憎んだ表情をして 去っていくのを待ってる 嫌悪の表情で 晒す鋭いナイフは偽物で 突きつける拳銃に弾丸は無くて 切り裂くように傷つけて 貴方は私を守る ナイフの切っ先を握り締めて 切り裂くように傷ついて 嫌悪の表情で 似合わない嘘を吐いて 貴方は私を守る 傷つけるのと同じだけ傷ついて 同じより少し多い位に 傷ついて 似合わない嘘で 突き放した振りをして 悪人の表情をして 去っていくのを待ってる /*優しい眼差しで*/ 貫き通す覚悟が有るなら どうぞ 吐いて下さい どんな嘘も信じましょう 貫き通せたなら 嘘は何時だって 真実になるのだから さあ 貫く覚悟が出来たなら 乾いた唇を湿らせて さあ 引鉄を引け! 嘘っていう題材は好きです。(個人的に嘘は好きじゃないですけどね…吐くのも吐かれるのも。あくまで題材としては好きです) 優しい嘘も残酷な嘘も他愛ない嘘もどうしようもない嘘も憎まれる嘘も苦々しい嘘も、全部同じ嘘でありながら、微妙に異なって。 でもたった一つだけ、絶対な、事。 嘘は真実では無いけれど、ばれない嘘ならば、ですが(バレバレの子供のような嘘は、直ぐ見破れちゃいますしね…/笑)、貫き通せば、貫き通す事さえ出来れば、他人にとっては真実になり得る、という事。 だから、嘘を吐くには、覚悟が必要だと私は思っています。 2007.05.13 |