零れ行く砂


戻らないことを決めた
青臭さ故の意地で
嘘吐きの罪を購う為に
関係ない人巻き込んで
数え切れぬ罪を重ね続けた

赦されない為に
赦さぬよう心に決めて
終わりを定める事さえ出来ず
振り払う温もりに罪悪感さえ無く
流れるように生きてきた

明日私は赦すだろうか
唯それだけがひたすらに怖い
いつか私は赦されてしまう
青臭さ故の意地だと
笑い話にしてしまういつか何処かで

小さな罪を購う為に
数え切れぬ罪を重ね続けた
幸福になる術全て切り捨て
見なかった事にした
忘れ続ける事にした

明日私は赦されるだろうか
忘れる事を留めてしまう
いつか私は赦してしまう
青臭さ故の意地だと
唯それだけがひたすらに怖い



寂しい嘘で貴方は私を守る
いつも今も
知らない振りで振り払う両の手を
きっと貴方は責めない

優しい嘘で貴方は私の背を押す
今もいつも
解らない顔で背を向ける私を
きっと貴方は赦すだろう

綺麗な嘘で私は貴方の手を離す
いつも今も
閉じていく扉の向こうで
微笑みと祈りを唯捧ぐ



背中合わせに絡めた指先
解けたらもう涙飲み込み
頭を上げて歩いていくだけ

振り返らないで
振り返らずに歩いていくだけ
絡める指先解けたら



懐かしい子ども扱い
優しい掌が愛しい
飲み込む涙は何時も熱く
甘えてしまいそうな自分が悲しい

放した掌自由になったら
振り返らずに走り出して
忘れ物は帰らぬ物
胸の奥に潜ませた痛みは丁度良い

貴方の為に此処で歌う
柔らかな旋律は風に乗って
届くだろう何時だって
祈りは何処からだって響く

絡んだ指に力を込めて
御仕舞いの覚悟を決める
愛しているとキスをしたら
手を離す準備をしよう

空っぽの掌自由になったら
両の手伸ばして
舞うようにスカート翻し
貴方の為に此処で歌おう



繋ぎとめた掌から
零れ落ち行く砂のよう
気付かぬうちに失くす物も有るだろう

願うばかりで動けぬ今に
消え行くものもあるのだろう
いづれ気付いてしまうのだろう

哀しい荊で縫いとめた両の足
歩き出す力は胸の奥底に
振り返り振り返り繰り返す確認作業

失くした物の大きさに
気付かぬまま進み行く罪深さ
立ち止まり続けることの業深さ

繋ぎとめた掌から
砂は常に零れ落ち行く
確認しようとせずとも



いつか、泣く事になっても。
選択肢は何時も、自分の中にあって、決めたのは、何時だって自分。

2007.11.17