眠れない夜
ポツリ 一つ 水音 零れた 深く 暗い 暗い 闇の夜 凶暴な 時を刻む 音が響く 眠れない夜 漆黒の猫 艶やかな闇の猫は 気紛れに擦り寄って 差し伸べた手を 引っかいた 独りじゃ生きて行けないと 陽だまりの膝を独占した後は もう何にも知らん顔 好奇心の強い夜の猫は あっちへふらり こっちへふらり 風の吹くまま自由気ままに 強かな漆黒の猫は 甘えたように額を押し付け ひらりその身を 闇へと解かした 雨の音 礼儀正しいノッカー窓を打つ 寂しい夕焼けを飲み込んだ音色 耐え切れずに 伝い落ちた涙が 乾いた地面に染みて行く 遠い遠い海へと帰る 優しく哀しい懐かしい音 空から降るもの 天使の羽が舞い落ちる 音も立てずに ただただただひっそりと 本の少しの笑顔を降らせて 消えて行く 淡く淡い牡丹雪 御伽噺 未だ幸せに辿り着けない 夢見るばかりの願い事 零れる現実は優しく甘い御伽噺 ニセモノの私 笑って泣いて怒って 夢見るように目を閉じた 音を持たない心が 痛みを伴い疼く 我慢するばかりで 期待する事を禁じ ピエロにすらなれない 哀れな子供は 真顔で呟き続けた 大丈夫 さくらになる事ばかり 上手くなって 道化師になれたなら 笑って泣いて怒って 大切だと呟き続ける 嘘吐きな私 野に咲く花のように 穏やかな陽だまり 貴方にとっての 野に咲く花のような ささやかで暖かな それになりたい 水流の音 うねり飲み込む 知らぬ顔で笑う 響き渡る轟音 押し寄せ引き寄せ 飲み込み流し去る 凪いだ水上 幸福の鐘だけが 響き渡る さぁその船を押しましょう 涙の味も 哀しい真実も 紛れ消しさる水流の音 月夜烏 微笑み浮かべて 闇に浮かぶ丸い月 酒を片手に秘密の語らい 溢れて漏れる秘めた恋心 夜明け 永く長い夜が明けて 雪が解けて春になる その先に貴方が居れば良い 風に惑いし蝶 ひらり残像残し 優雅にスカート翻し 行き先など無いのに嘯いて 留まる事も出来ず かざした掌 眩いと細めた瞳で見上げて ひらり 祈りさえも飲み込んで 蝶は惑う独りきり 失われた日々 隣に立って歩く日々 同じモノに触れて 同じ温度を共有し 惰性のように続く日々を 疑いもせず信じてた 終わりの日が来ても 離れて放されても 変わらぬ日々が続くのだと 呆れるほどに思い込んで 忘れる事は無いと 笑顔も声も仕草も癖も 覚えこんで行ける筈と 胸にしまって連ねた 流されていく日々に 愕然とする 思い出す事さえ出来ぬ 失くした声 未だ欲しがり望むのは 今はもうここには無い 失われた日々 窓のむこうの景色 手を伸ばして握り潰した 柔らかな温度の日常 手の届かない窓の向こうの景色 /*欲しくて欲しくて欲しくて、それでも。どんなにどんなにどんなに手を伸ばしても、それでも。 …届かない、硝子一枚隔てただけの、当たり前の日常。*/ 雪融け水 春が来るね 君が笑った さよなら 君の額にキスをして 僕は静かに目を閉じる 長い冬は 雪と共に解けて 流れ逝くモノだから 春に必要なものだけを 持って御行き 待ち侘びた春が来るよ 雪解け水が山を下り始めた 覚えて置かなくて良い 見送れないけれどもう御行き さよなら 壊れた時計 痛んだ傷跡も鮮やかに 時を止めた君 時を止めた振りをする僕 こうすればずっと一緒 時計を止めて君は笑った 時を止めた時計腕に巻いて 止まってしまった時を 動かす術も知らない振り 壊れた時計腕に巻いて 君と一緒に居たかった 囀り いつも歌っていて 小鳥の囀りのように 私にだけ聞かせてね 空が泣いてる。 嗚咽も漏らさずほろほろ 耐え切れず綺麗な雫を漏らす 大きく開いた両腕を 貴方が許してくれれば良いのに 許して飲み込むばかりで 貴方は何処で許されるの? 嗚呼呆れるほどの晴天で 空が泣いている 地平線 地平線の彼方へ今日が消えて行く 哀しい事も御仕舞いバイバイ 明日は何もない真っ白な新しい日 紅い花 鮮やかに 残滓がこびり付いた 貴方を彩る紅い花 壊れたピアノ 外れた音に顔を顰める 本を開いて窓の外見上げた彼女は 仰ぐ空の遠さに涙した 綺麗な音色は既に還り 壊れたピアノの音色は もう響かない 厭になるほど遠い彼方の 貴方がここに 確かに居た証 風の吹く丘で 優しい約束は 風の吹く丘で 光の満ちた朝に 届く事が無くても 永遠と歌った日々に 辿り着けなくても 又会いましょう ここでこうして 風の吹く丘の上で 眩い光 焼きつく熱で絶えると知りながら 電灯に群がる羽虫のように 眩い光が焦げ付くように目を刺す それでも構わなかった たった一瞬の刹那だけの激情でも 君に触れたかった唯それだけ 贈り物 奇跡の塊 神様からの贈り物 君が居る今日 流れ行く風景 想い出を手繰り寄せ放して放つ西の空 郷愁と期待を背負って 流れ行く風景 歳月 数えただけ 貴方と来た今日 知ってる? 私が生きてきた日々の 半分以上に当たるんだよ これから先だって 半分以上有れば良いよね 貴方と居る今日 後悔 何を為しても 何も為せなくとも きっとその先に待ってる 後悔の苦い味が 本の少しでも減る様に 最大限の決断を 何を選ぶも 何も選ばないも 全部貴方の意のまま 足跡 砂浜に残る二つの足跡 戯れのように重ね合わせて これから先を祈るように思った またね 願うように手を振る 変わらぬ日々を祈り またねでお別れ カウントダウン 終わりまでの日々を 啄ばむように愛して カウントダウンは 止まらない 終わらぬ朝を どれ程祈ったとしても いつもと同じ風景 離しかけた掌を繋ぎなおした 私が笑い貴方も笑う いつもと同じ風景 鮮やかな色 焼きついて放さない 焦げ付いて消せない 鮮やかな貴方と居た日々 こんなものなのかな? ぽかり空いた心の穴 埋まらないと信じたけれど 埋め尽くす膨大な情報 こんなものなのかな? さよならの続き 終われなかった御伽噺 疑問符 如何して一緒に居てくれたの? 如何して一緒に居てくれるの? 何にも無い私と 卒業式 櫻の花がひらひら舞ったら 卒業証書下さいな 儀式めいた貴方からの卒業式 勝利の女神 地に這っても何度でも蘇る 平凡で優しい勝利の女神 君がそこで笑っていてくれるなら 青春の日々 青臭い思い恥ずかしげも無く叫んで 甘いばかりの理想高く掲げて 嗚呼懐かしき青春の日々 お勉強中 間違った答えでも許してね 逃げ続けた罰を今ようやく終わらせてるの 今頃になって未だ貴方との付き合いはお勉強中 手を伸ばす 恐れと共に伸ばした手を 当たり前のように取ってもらった 泣きたいような衝動を貴方は知らない 何気ない挨拶 言葉も途中に驚愕に見開かれた瞳 不思議そうに何度も瞬く 親愛を込めた何気ない挨拶 夕暮れの学校 暗い教室で白いチョークで別れを歌う 朱く染まる窓の外を眺めた時はもう遠く 今は朱く染まる校舎を眺めるだけ 天使の梯子 愛の吐息と安らぎの微笑み 暖かな温度と穏やかな願い 空に掛かる天使の梯子 頑なな心 強固な守りで保ち続けた 頑なな心溶かしたのは 優しい貴方のその両腕 飽き性 何でも直ぐに飽きてしまうアタシだけど 貴方のことを手放すつもりは無いのよ 覚悟しておいてなんて今すぐに宣戦布告 椛の葉っぱ 真っ赤に色付く赤ん坊の小さな掌 擦れる音を響かせて地面を彩る 夏を追い立てる秋の風景 /*もみじって紅葉の漢字しか知らなくて、椛って漢字もあるんだって知ってびっくりした。 木の花、まんまだよね。*/ 夜の学校 不思議の入り口が 口を開いて待ってる 秘密に満ちた夜の学校 壊れた眼鏡 誰も私を解らないと 拗ねるように頑なに信じた 解って欲しいと叫びさえせずに 貴方を解りたいと 駄々を捏ねるように願った 解らせてと手を伸ばす事もせずに 唐突に同じなのだと 思い至った 度のあわないレンズで 見続けていた現実は 音を立てて砕けた 駅前にて 泣くように降った小雨を理由に 傘を片手に君を待つ いつもの駅前にて 地球儀 くるり指先で辿った世界は こんなにも小さいのに 一回りするのにどれだけ掛かるだろう ひとつ指先で示した国は こんなにも小さいのに どうして仲良くする事が出来ないんだろう 風船のような地球儀は 意味も持たず回り続ける 無性に君に逢いたくなった 花言葉 想いを優しい花言葉に変えて 貴方に送りましょう 貴方がその意味に気付かなくとも 繰り返し 何度辿り着き何度失っても 何度も何度も手を伸ばしましょう 繰り返し繰り返し 誰もいない部屋 こんなに広い部屋だっけ こんなに静かな場所だっけ 誰も居ない部屋はこんなに寂しかったっけ? 夕陽の色 赤い頬を隠すように 貴方が笑った 今日の空は朱く染まる夕陽の色 木漏れ日 僅かな葉の合間を縫って 光のストローが零れ落ちる 踊る輝きの粒子の下 眩い木漏れ日を塗って 君の影が落ちる 柔らかな日々の幻のような 鮮やかな木漏れ日の下で 困ったような顔をした 君が焦れるように笑った 静寂 欲しがった静寂の中 君の温度が隣に無い事に 打ちのめされる事実を知った 還る場所 風のように何処に向かっても 霧のように何処かに消えても 僕が還る場所は何時だって君の傍 嘘の中の真実 差し出した沢山の嘘に 紛れ込ませた真実に いつか君が気付けば良い 信じても居ない神に祈って 嘲る様に紡いだ 本当の事は 僕の口からは告げないけれど ばら撒いた沢山の嘘に 漏らした真実に いつか君が気付かなければ良い 夜空の星 指差された夜空の星が 涙で滲んだ 遠くで見守っている 唯遠くで 笑うように頭を撫でた 温かな掌が 優しく空へと還って行く 縋るように願った 遠くで星は瞬いて 時を刻む音 響き渡る残酷な時を刻む音 柔らかな羊水の中 漂って居られる時間は もう終わり 甘えたで何にも知らず 傲慢で希望に満ち満ちた 子供で居られる時間は もう御仕舞い 捨て猫(犬でも可) 甘えたように擦り寄って 近寄られれば毛を逆立て逃げる 君は強かで警戒心の強い捨て猫のよう たとえるなら たとえるなら其れは光 たとえるなら其れは未来 たとえるなら其れは希望 僕が君の瞳に見たもの 鼓動 君の声が聞える 唯それだけで 早まる鼓動 巡る季節 巡る季節を幾度数え 凍え落ちる星を幾度見送れば 貴方に再び出逢えるのでしょうか 失くした貴方の温度を もう一度取り戻せるのでしょうか 巡る季節を幾度数えれば あたたかい 陽だまりはいつも 貴方と同じ匂い 優しい掌が泣きたい程暖かい 風に揺られながら 黄色い頭を風に揺られながら 彼は愛を歌った 遠く遠く見つめ続けて やがて哀しい日々に打ちのめされるまで その命が幾度廻り その世代がどれ程変わろうと はらはら涙を零して 届かぬ太陽に愛を乞うた 嫉妬 見知らぬ誰かを憎みたくなる程 こんなにも悔しい 僕の知らない君が居るなんて 雷鳴 傘も持たず軒下の二人 逢瀬の長雨の終わりを告げ 響き渡る雷鳴の鐘 銀色の指輪 薬指にくれた銀色の指輪は 貴方がくれた魔法 穏やかな未来の約束 鬼ごっこ 仮面の下でくすくす笑い 細い掌合わせて叩く 鬼さん此方手の鳴る方へ 無邪気な子供は愉快な色を 切ない大人は祈りの音を 何度もすり抜け繰り返し 逃げては追って 追っては逃げて 鬼さん此方手の鳴る方へ 1年目 覚えてる? 優しい綺麗な朝 記念日の今日 他愛ない言葉 冷たい指先 白く空に解けた吐息 月のような爪先の灯り 覚えていないかも知れないけれど 君と出会って一年目 銀色の季節 ビニール傘から零れ落ちる大粒の涙 きらきら輝く太陽が金色のストローを差し出す頃 眩い雨が降りしきる銀色の季節 晴れたらいいね。 差し出した未来 晴れたらいいね 私は其処に居ないけれど 晴れたらいいね 何処までも 何処までも 迷う事無く惑う事無く 光に満ちて色鮮やかな 明日に辿り着けますように どうでもいいじゃん。 誰かの目とか感情とか どうでもいいじゃん? やりたい事やれば良いんじゃない? ここから先だって ここまでの人生だって 自分の物なんだからさ ありがとう。 ありがとう。 ありがとう。 ありがとう。 心の其処からの感謝を いつだって貴方に 万華鏡 差し出した強がりと 閉じ込めた弱さと 形を変えて傍に居る 隠して描いて 真実は何処? 鏡に阻まれた 心は万華鏡 おめでとう。 幸せになりに行く君に 沢山のハグと沢山の幸福を おめでとうの別離を添えて 真っ白なノート 何でも書けるよ 何だって描けば良い 真っ白なノートには 可能性だけちりばめられて 通り過ぎていった。 掴まえる事叶わずに 通り過ぎていった。 留める事叶わずに 子守唄 溢れて零れる アイシテル イトシイの唄 貴方の頭に降って 貴方の頬に零れた タイセツの子守唄 教室の片隅 告げる勇気も無く 教室の片隅に 忘れたように残してきた恋心 道標 角ごとに用意されたご親切な道標 それでも終わりを教えてくれないの 行き着く先は現実 全部手放して飛び立ちたい 哀しみと後悔だけを凝固した ご親切な道標 無限に並べ立てられたご親切に道標 それでも行き先を示してはくれないの 行き先はもう決めた? 静寂の森 重苦しい沈黙に耐えかねて 口を噤んだ 何もかもに赦しが居るよう 強迫観念めいて何度も想った 広がり行く静寂の森 詰めた息を吐き出した 薫り くすぶる風の薫りは 懐かしい故郷の色 あの日と同じ夕暮れの音 狐の嫁入り 泣きながら手を振った 心の底から想い続けた 貴方の幸福を祈るから 笑いながら手を振った 泣きながら手を振った 心の底から願い続けた 貴方の幸福だけ祈るから 現実逃避 絶対の存在 永遠の幸福 楽しいばかりの現実 目をこじ開ければ 全て今にも色褪せる 哀しい現実逃避 桜月夜 縁側に盃並べて 語り明かしましょう 切ないほどに鮮やかな 桜月夜を肴に いつか そう遠くは無い未来で 青い観覧車 解けるよりも濃い蒼 気が遠くなるほどの空の遠さ 天高く上る丸いゴンドラ 銀縁の眼鏡 月の光を反射する銀 だから好きなのなんて 本当は 貴方とのお揃いが欲しかったの 可愛らしい乙女心でしょ なんてぼやけた視界に気付かぬ振りをして 滲む視界を誤魔化した /*本当はずっと好きだった*/ 暁の空 永い永い夜が明ける 空に敷かれる光の白 残酷に優しく訪れる朝の前触れ 片隅のラクガキ 意味の無い形 意義を持たない言葉 愉悦と感傷がなぞる落書き 柱時計 柱時計が数だけ鳴ったら お帰り お帰り 懐かしい我が家へ クローバー 幸福のお裾分け 見つけたなら貴方にあげる 四葉のクローバー 咲き誇る華 凛として凛と立って 哀しみの露も寂しさの霧も 伝わらせ落として 首を真っ直ぐに伸ばして 美しく華は咲く 凛と立って凛として 己の足と体一つで 華は咲き誇る 五月雨 鯉が滝を登っていく 竜が舞う空の音 羽ばたくように降る雨 夜の丘 月の丘で 又会いましょう 約束だけが宙ぶらりん 会いたいと どれだけ紡げば 貴方へと辿り着くのでしょう 夜の丘へ 行く術さえも失い 懐かしい琥珀の想い出を 私はこうして手繰り寄せるのです 少年と少女 相容れずだからこそ惹かれ 少女は未来を見据えて地を歩み 少年は夢を見て空を駆けた 自由の女神 微笑んで 掲げた理想と 零れた希望の欠片 未来を手に 枷から開放され 祈るように微笑む 美しき自由の女神 埋まらない席 去り行く貴方が居た痕 埋まらない席は 今も貴方の場所 /*だから、帰っておいで、いつか。*/ 心の隙間 綺麗に埋め込んだつもりで 埋めきれずに太刀筋のよう一筋 貴方が残した傷口 胸に浸した掌が温かくて冷たい /*貴方が如何して、居ないの?*/ 柘榴 真っ赤な柘榴に口付ける 紅の唇で微笑んだ 血の様に赤い残酷な果実 白百合 芳しい甘い甘い香 僅かに頭をもたげ 微笑む貴方は白百合 天気予報図 地図を持って 何処へ行こう 明日の天気予報は 確かめたけれど 気の向くまま 思いつくまま 明日は明日の風が吹く 晴れでも 曇りでも 雨が降っても 槍が降っても コンパス片手に 何処へ行こう さあ出かけよう 希望だけ胸に 慰め 暖かな想い出を胸に 裸足のまま歩いていこう 貴方との想い出だけ慰めに 優しい子守唄を口に 空っぽの両の手振り仰ぎ 綺麗な昨日を慰めに 何処までだって行けるだろう 今日が健やかな昨日に変わり 明日が晴れやかな今日に変わっても 幸福な記憶だけを慰めに こだわり 小さな小さなこだわり一つ しっくりと掌になじむ 優しいフォルムと温度 小さな小さなこだわり一つ それ以上ない絶対の物 別れがあるから出会いがある お別れと振った手で 貴方の手を握る そんな今日がどれ程幸福か 忘れ行くことを怖れ続けて 重ねた罪ばかり追いかけて 本当に大切なモノ見失い捨て去った 空っぽの両の手嘆くには 余りにも身勝手すぎて 抱きしめるだけが全てだった 背中合わせで歩き始めて もう届かないけれど 其れでも唯手を振り続けた 空っぽの両の手に 優しい貴方の掌が触れて 綺麗な笑顔を降り積もらせた 愚かな事に気づく為に別れ 別れたからこそ大切なモノに気付いた 巡り会う貴方の手に祈る 迷言集 迷言だらけの貴方の辞書 最後の最後にたった一言 常に書かれる意味笑顔 観客のいない劇 泣く事一つ赦せずに徒唯幸せな振りをして 道化師は笑顔を振りまいておどけて見せた 観客の居ない劇の中でさえ 待つだけの女 両の手を握り締めて彼女は空を仰ぐ 眼に痛い蒼に刺す様な光 手を伸ばすでもなく逃げるでもなく やがて影が差すことを願いながら 何一つ成す事無く唯空だけを仰ぎ続け 女は唯座り続けた 不思議を探す少女 道理も決まりも捻じ伏せて 少女は不思議と首を傾げた 何も知らない無垢な瞳で
お題配布 嘘つきの街様
2008.01.13 |